駅のキオスクなどで、ゆで卵を2.3個袋に入れて売っているのを見たことがあると思うが、 榎本果実店はキオスクにそれを卸していた。だから、えのさんは小さい頃から何百、何千というたまごに囲まれて暮らしていた。
えのさんは、茹であがった卵を3個づつネットの袋に入れて口を止めるというバイトをしていた。一袋につき1円バイト代だった。その日は、どうしても買いたいおもちゃがあったが、今日はゆであがった卵が少なく、もう少し、つめないと、その小遣いがでない。
えのさんは、自分で卵をゆでて、数を増やそうと試みた。いつも大きな釜に200個くらい入れて、沸騰したら火を止めていたのを憶えていたえのさんは、小さなナベに40個くらい入れて沸騰するのを待った。
しかし、小さな鍋ではすぐに沸騰するので、卵は十分に茹で上がっていない。ほとんど生だった。
翌日、おとうちゃんの叫び声。
「計介、お前、どこのたまごつめたんや」
あまりの剣幕に恐くなって、ぐずぐずしていると、
「とにかくいくつ生たまごをつめたんや」
と責められ、生やないけどと思いつつも
「5つくらい」
と答えてしまった。しかし本当は15袋くらいだった。
車内で、ゆで卵だと思って割ったお客様の悲鳴は、叱られているえのさんには届かない。翌日、さらに大目玉を喰ったことは想像通り。この頃から、何かにつけ、与えられたものをその通りやる子ではなかった。
「今度はばれないように、一個、割って確かめよう」
ぜんぜん反省の色がないえのさん。でも、たくましい商魂でもあった。
2006年12月17日
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ブッキーの笑顔がいい
Excerpt: 近所の高級スーパーでいつものお買い物。卵のコーナにある白っぽい卵と赤っぽい卵。ど...
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