2006年12月11日

えのさん物語(1)「えのさんは子供の頃から商売人」 えのさん物語.gif

 えのさんは1955年、和歌山県の新宮市に生まれた。新宮市は当時人口4万2千人、三重県との県境、熊野川の河口にある、いなかの割には活気のある町だった。
そこで、両親は10坪弱の「えのもと果物店」を経営していた。ちっちゃい頃からえのさんのやんちゃは変わらない。いたずらがすぎて両親は、近所に謝ってまわる日々だった。

 小学校にあがる頃から、えのさんはおかあちゃんの手伝いで店番を始めた。ここがえのさんの商魂を鍛える道場になった。3年生くらいになると、ひとりで店番ができるようになった。おかあちゃんは夕方になると、おとうちゃんの食事の世話をするために、500メートルほど離れた自宅に帰っていた。その間、えのさんはひとりで店番をすることになる。

新宮駅はゲームの桃太郎電鉄にも出てくる国鉄の拠点で、大阪行きの始発駅になっていた。えのもと果物店は駅前にあって、夜10時40分の最終夜行列車にのるお客さんが終わったら店を閉めていた。おかあちゃんは9時頃店に戻ってきて、えのさんは、閉店までいっしょに手伝った。

えのもと果物店の脇の路地を入ると、飲み屋街があった。夜になると酔っ払いのおっさんとホステスが店の前を通る。気前の良さそうなおっさんがええカッコして、ホステスにくだものを買ってあげる。えのさんは愛想良くしてると、おつりをこずかいにくれることが良くあることを知っている。一日20円だったこずかいから考えると、もらったおつりはけっこう大きい。

なかには横柄なおっさんもいたが、商売人のチビえのさんは気にしない。くだものを買ってもらったホステスが、客を見送った帰りに、「バカなおっさんだね」ってえのさんに笑いかける。世の中の裏表を日々、当たり前のように見ながら育っていった。
posted by えのさん at 22:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | えのさん物語
この記事へのコメント
「ええカッコして、ホステスにくだものを買ってあげる。」
こんな事してたかも、とドキッとして、
「バカなおっさんだね」
で、ガクっと落ちた(苦笑)

同じく自営でしたが、僕の実家は陶芸家で、対面小売りでありませんでした。だから、えのさんの様な体験は無いです。その代わりに!?粘土で色んなものを作ったりしました。今のクリエイティブに活きている感はしますが、幼少期の体験で大きく変わるよなぁ...と感じました。
でも、商売人に憧れます(笑)
Posted by あっくん at 2006年12月12日 09:37
楽しい連載の始まりですね。私も商売屋で育っておりますので、商売屋の子供の要領よさは、共感できます。
Posted by じゃんつん at 2006年12月12日 14:52
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